散歩の途中で木槿(むくげ)の花を見るようになった。いろいろな色と形の花があって楽しい。
ムクゲはお隣韓国の国花だということを聞いて久しいが、純白の無垢の花がそれにふさわしいと思った。街で見かける女性のチマ・チョゴリの上着の、その色の白さが目に浮かぶからだ。チマ・チョゴリにはいろいろな色のものがあって、それぞれ深い意味があるらしいが、なぜか私には、女学生が着ている純白の短い上着しか目に浮かんでこない。
むかしあるところの園芸試験場を見学していたとき、場内のいたるところに木槿(むくげ)の花が咲いているのを見て、気が付いたことがあった。一重の花には花の真ん中に長い蕊(シベ)が立っていて、なかにはロウソク立ての棒のように目立つものもある。しかし、八重咲きの花は花全体がたくさんの花弁だけになっていて、この蕊(シベ)が全く見当たらない。
気になって場内の花を見て歩くうちに、八重咲きの花弁はこの蕊(シベ)が変化しているらしいことに気が付いたのである。
一重の花は五弁の花で、その真ん中にしっかりした蕊(シベ)があるが、花弁の数が増えている花は、明らかにその蕊(シベ)から花びらが出てきている。つまり蕊(シベ)が花びらに変化しているのが見て取れたのである。場内には、花の中の蕊(シベ)の高さが少し減って花弁が増えているものから、蕊(シベ)が半分くらい残っているもの、もう痕跡しかないものまで、見ることができたのである。
散歩の途中でハイビスカスの花も見かける。ムクゲとハイビスカスとは同じ仲間だという。同じ場所で咲かせているところは滅多にないから並べて見ることはできないが、撮った写真を見るかぎり、二つの花は区別がつかないほどよく似ている。しいていえば、ハイビスカスの方が少し堅くて造花の花のようである。ハイビスカスには黄色い色の花をよく見かけるが、ムクゲには見たことがないように思う。
木槿(むくげ)の花が咲き乱れるのはこれからである。