昨日のお昼ごろだったが、窓の外でカラスの鳴き声が異常にうるさかった。窓を開けてみると、70メートルくらい先にあるビワの木にカラスが群がり、当たり一帯の屋根や電線、電信柱や高い木々にもカラスが留まって啼き叫んでいた。
ビワの木から次々にカラスがオレンジ色のビワの実を銜えて飛び立ち、また周りからカラスが次々にビワの木に降り立っている。カラス達はビワの実が熟したことをよく知っているのだ。50羽から80羽を数え、ずいぶん遠いところからも集まっていると考えられるが、どうやって知ったのだろう。
カラスが互いに電信柱の頂にとまり、次々に遠くまで鳴き交わしているのを何度も見ていたので、カラス・ネットワークの存在を感じていた。昨日は、このネットワークによってカラス達がここに集まってきているのは確かだ、と改めて思ったのであった。
今日になって、カラスが未だ去らずに啼き叫んでいることを知った。ひと目で20羽はいる。それが四方にいるから未だ80羽はいるだろう。それぞれが電線や屋根の上などの高いところで、互いに鳴き交わしているように聞こえる。昨日とは感じが違っている。
暫くカラスの啼き姿を見聞きしていたが、どうも昨日集まったカラス達が去りやらぬ状態になっているらしい。当然テリトリーがあって、カラス同士お互いに守っていかなければならないと人間は考えるが、はたしてこのカラス達の鳴き交わしている状況はこのことと深い関わりがあるかどうかは、カラスにしかもちろん分からない。
こんなことを考えながら窓の外を気にしていたが、いくら経っても一向にカラスの数は減りそうもなく日が暮れていった。
それから暫く経って気がついたとき、夜のしじまが訪れてカラスの鳴き声は無かった。明日はカラス達一同、一体どうなっているのだろうか。