今朝の朝日新聞34面に「コンクリート劣化、赤外線で診断」という囲み記事が載っていて、コンクリート構造物の劣化を発見する簡便な方法が開発されたと伝えている。現場で瞬時に解析できるので、補修や補強が必要な構造物が増えていく時代に役立つ、としているのを読んでいろいろなことを思い出した。
吉祥寺駅周辺の JR 高架線はコンクリート構造物で、最近コンクリートの柱を鋼板で覆う作業が進んでいる。高架線を長大なコンクリートの橋と考えると、その橋脚にあたる脚が鋼鉄の外皮を被った柱になっていっているのである。さらに橋の欄干にあたる部分にも修理の手が伸びてきている。この構造物が造られた昭和40年代には、コンクリート構造物の寿命は100年といわれていたが、現在までの経過年数は40年台に入っている。
かって神奈川県津久井地方で、中央高速道路の建設中の作業現場を見る機会があったが、当時は建設業者自体がコンクリートについてまだよく理解していない状況であったので、設計監督にあたる部署は大変な苦労をしていた。このような中から生まれてきた高速道路の躯体も、もう補修や補強を必要とする時期に近づいてきている。
こういうコンクリート劣化の時代に入っているのだから、東京大生産技術研究所が5日発表した新手法は、時宜をえたもので大いに期待したいと思う。